2004.6.28




BOY
NO.038ソフトですがアスシカ含有致しますので、御注意願います。





このままじゃ、あいつとの距離がいつまでも縮まらねえからって、ヤケになったわけではない。
自分なりにこれが一番手っ取り早くて最善の方法だと思った。
策士だと謳われたこの俺が、まさかこんな。
御自慢(?)のIQ200とやらは一体どこいきやがったんだ…。










「よぉサスケ、何やってんだこんなとこで」
「ああ、カカシをな…」
「また遅れてんのかお前んとこの上忍」
「遅れてる、なんて可愛いもんじゃねえよ」
俺は三時間ここにこうしている、というのは決して大袈裟ではないのだろう。
読み終えたのだろう数本の巻物をしまいながら、ものすごい数の皺を眉間に寄せていた。
「もう慣れたけど」
「へえ」
「お前こそこんなとこで何やってんだよ」
「俺?いや、俺はなんつうか…」
「散歩?」
「うーん、まあそんなとこだ」
何とはなしに、ふらふら歩いていたらいつの間にかこんな、里の外れまできていて。
ふと、そのはねっ返りの性格をそのまま表しているかのようなクセのある黒髪が目に入ったから側に寄ってみただけなのだ。
それにこいつが一人でいるというのはかなり珍しい。
必ずと言って良いほど、サクラやナルト、いの何かが引っ付いている。
内心ラッキーだとほくそ笑みながら、さり気なく華奢な肩に腕をまわしてみた。
「シカマル?」
「暇つぶし。俺と遊んでようぜ」
「面倒じゃねえのかよ」
そんな。
ふ、と微笑まれただけで余程適当に作られているのか、この心臓は大きな痙攣を一発起こしてくれる。
いつからこうなったかなんてさっぱり憶えていない。
気づけばいつだってこの男を目で追っていた。
「いいんだよ、面倒だって」
「変なヤツ」
「で、どっか行くか?お前あんまこっから離れらんねえだろ」
「いや、それは気にしなくていい」
「あ?」
「どこにいても来る…、と思う。たぶん」
「ふ〜ん」
眉間に皺が寄ってきたことは気になるが、この二人の関係には羨ましいものがある。
付き合っているのかと一度聞いたときはものすごい逆ギレされて服が少々こげた。
その割に、サスケは何かとカカシカカシだし、カカシの方は何かとなくともサスケサスケサスケで。
ナルトとの態度の違いは一教師としてどうかと思う。
それが普通な七班には何を言っても無駄だが、傍から見たら異常な班だ。
「んじゃどこ行くよ?」
「別に。お前の好きなところでいい」
「俺の好きなところって言ってもなあ…」
適当に思いついた、草むらに寝転がって昼寝、と提案してみたら爆笑されて。
「んな笑うことねーだろ」
「お前らしいと思って」
けれどそれに決定、とお気に入りの穴場を紹介することとなった。



「この辺よく来んのか?」
「ああ、たまにだけどな。ふらふら歩いて辿り着いた時は必ずここで寝てくな」
確かに、さらさらと気持ちの良い音を奏でる小川の淵で、新緑爽やかなふわふわの芝生に寝転がるというのは最高である。
別に眠かったわけでもないのに、目を閉じたら昼寝など軽くできそうだ。
「はー…、癒される」
「んな癒しを求めてんのかよお前は」
「まあな」
たかだか12のガキが何言ってんだと苦笑う自分も12であったことに気づき、ますます苦笑してしまう。

「気持ちいいだろ」
「ああ…」
ぼんやりとした返事のまま、サスケは目を閉じ、それからあっという間に規則正しい寝息が聞こえてきた。
もっと話をしていたかったのも事実だが、こうして穏やかな寝顔を拝んでいるのも悪くない。
そう思って、綺麗な横顔に手を伸ばそうとした瞬間。
本当に、その白い頬に指先が触れる寸前で。
がしっと、手首を何者かに掴まれたのだ。

「やーシカマルくん。こんなとこで何やってんの?」
「あんた…」
胡散臭いマスクの奥も、果たしてこのまま上面の笑顔を宿しているのかどうか。
横ではサスケも待ち人だった者の気配に気付いたようで、もぞもぞと起き上がっている。
「?…何やってんだお前ら」
確かに、手首を掴み掴まれ睨み合っている様は傍から見たらさぞ不思議なことだろう。
「何でもないよ、じゃ行こっか」
「は?ちょっと待てよ、おい!」
肩に担がれたサスケは暴れるも、何の抵抗にもなっていない。
「じゃーねー、シカマルくん。うちの猫ちゃんかまっててくれてありがと」
「あ、ああ」
ついうっかり手を振り返してしまって、アスマによろしくなんて言葉を吐かれ二人は目の前から煙と共に消え失せたのだ。



「あーあ、やっぱ勝てねえよなあ…」
サスケを思う気持ちは負けていないことには自信がある。
しかし、年齢差で片付けるのは気にいらないが、やはり10以上の差は大きい。
「だいたい、10以上も下の男に手ぇ出してんじゃねえよ」

尤もな文句をブツブツ言いながら帰路につく中、ふとカカシの言葉を思い出した。

『アスマによろしくね』

アスマは、カカシの友人でもあり、それなりの関係もあると聞いている。
「アスマ、か…」
正直、こういうことであまり頼りたくはないが。
サスケが好きだなんて言ったらどんなにからかわれることだろう。
しかし、あのカカシを下敷きにできる人物なんて、他に思いつかない。
思い切り深呼吸をして、シカマルは意を決したのだった。










「アスマ。黙って俺を抱け」
「はあ?!」
片手にコーヒーカップを二つ持ったまま、アスマは振り返る。
ただ、咥えられた煙草だけが歯の隙間から今にもこぼれ落ちそうで。
「何も聞くなよ、男らしくねえな」
「いや、何も聞いてねえよ」
カカシじゃあるまいし、こいつがこんなことを言うなんて何かそうとう思いつめたことでもあったのだろうか。
「抱くのはいいけどよ、お前経験ねえだろ?」
「まあな」
だから、覚悟を決めてここにやってきたのである。
早くしろよと言わんばかりに、何故だか思案に耽る上司を睨みつければ、いい香りのするホットコーヒーが鼻先に置かれた。
「…牛乳多くねえか?」
「早く大人になりた〜い、って?」
「何だよ」
「いいからこっちこいよ、シカマル」
手招きされるわけでもなく、視線だけで呼ばれたことに。
ぞくり、と一瞬寒気が走ったが、極力気にしないよう努めつつ、アスマの元へと近寄った。
目の前まで辿り着いた所であっという間に腕を取られ、押し付けられたのは唇だろうか。
頬に髭が当たってくすぐったい、などと感じる余裕もなく、シカマルの脳内は案の定大パニックを起こしている。
固まったままびくともしないというつまらない口内を蹂躙しながら、アスマは内心でサスケにちょっかい出し続けるカカシの気持ちがわかったような気がした。
確かに、この反応は下手な女よりも面白く、予想外に欲情するものがある。
やっと離された唇からは当然のことながら唾液がこぼれ落ちてきて、シカマルが慌てて拭き取ろうとする前に拭ってやった。
「お、おま、お前なあ!」
「これくらいできねえと、サスケは落とせねえだろうな」
「うわっ!」
反論するよりも早く肩口を無骨な腕に掴まれ、胡座をかくアスマの股間めがけて顔を押し付けられる。
ごり、と頬に感じるコレはやぱりアレであろうか。
どの段階でこうなったのか、すっかり質量と硬度を増してしまっている。
「変態」
と両腕を筋肉しか感じられない太ももにいくら踏ん張ってみても、軽くあてがわれているだけとしか思えないのに顔を上げることができない。
今の悪態だってくぐもっていて聞こえていない可能性のが高いくらいだ。
「修行その2。口で俺をイカせてみな」
「じょ、冗談じゃ!」
「何だよ、お前が抱けっつってきたんだろが」
「こういうことじゃねえだろ?!めんどくせえことさせやがってよ、お前のコレを俺のケツに突っ込みゃいい話じゃねーのかよ」
「あのな、シカマル」
「いって!」
髪をわし掴みにされて、舌を耳孔にねじ込められる。
「モノには順序ってモンがあんだよ」
「順序だと?」
「サスケにセックスしようぜ、っつってそのまま乗ってくるとでも思ってんじゃねえだろうな」
「………」
「要はその気の無い相手をどうやってその気にさせるかなんだよ」
お前が無理矢理にでも咥えて一発イカせときゃ、後は為すが侭だとアスマは言う。
「でもよ…」
「俺をイカせられりゃサスケなんてコロっとイッちまうから安心しろ。いいか、わかってんのか?お前はカカシを超えなきゃなんねえんだぞ」
「わかってるよ」
サスケを手に入れるためには。
だから、この男の元へやってきたのだ。
よし、と二度目の覚悟を決めて。
意気込んだ決意はジッパーを下ろした瞬間に遥か彼方へと吹っ飛んでいった。

「こんなモン無理に決まってんだろふざけんなてめえ!!!」
「何言ってんだ、コレがお前のココにもうすぐ入るんだぜ?」
肛門へと伸ばされた不躾な指先を払い落とす。
が、後頭部を押さえつけられ必至に抗おうとも刻々と最悪にも生の陰茎との距離が縮まっていった。
「やーめーろっ!!!てめえアスマ!!!」
「がたがたうるせえから萎えてきちまったじゃねえか、さっさとしろよ」
「アーッ!くそ!」
だいたいなんだこの艶のある黒さは。
大きさは。
大人の股間など幼い頃に父親のしか拝んだことがないが、こんな化け物のようなでかさではなかったはずだ。
それはさすがに勃起した状態ではなかったにしろ、尋常ではない。
ぺたりとした感触を顔面で感じる嵌めになったときに、自業自得で起こしたこの悲劇を本当に呪いたくなった。

アスマの意識がふと、シカマルから反れ玄関に向けられた時。

すでに遅し、ばたばたと忍の里らしくもない下品な足音が聞こえてきて。
「アスマッ!あのバカどこ行った?!」
ノックも無しに、ものすごい勢いで玄関の扉が開かれる。
「カカシか?さあ、うちには来てねえな」
「そうか…、悪い。邪魔したな」
そのまま、何事も無く立ち去ってくれたらなどとすでに薄れゆく意識の中で願っても、そんな甘い希望が叶えられるはずもなく。
ブツブツ悪態をつきながら背を向けたサスケの動きがピタリと止んだのだ。

「…シカマル?」
きっと、ものすごい形相で振り返ってくるのだろう。
「?!」
「昼間っからお盛んなことで」
「お互い様だろ」
そう言って指さされた、くるりと大きく開かれた襟口から覗く白い首筋に、無数の痣が点在していることを確認できた。
「あはは。バレた?」
「んなことよりノックくらいできるよう躾とけよ」
「了ー解」
背後からされた目隠しを何とか解こうとサスケはもがいていたが、そのままカカシ共々姿を眩ませてしまう。
シカマルが!シカマルが!と何度も叫ぶ声が耳に残っていた。





「まあな、こういうこともあんだろ」
「あってたまっかよ!!!」
まったく動じることなくさらに続きを促そうとする上司の顎を頭突き上げて。

暫く布団にくるまり男泣きに耽るシカマルであった。










END




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